ハンドメイド作品に消費税はかかるのか、かからないのか?そもそも消費税とはどういうものなのか、基本的な考え方をわかりやすく解説します。

サラリーマンとして経営管理の仕事を20年以上携わっているサイト管理人兼広報部長Tです。詳しい解説サイトは他にゆずるとして、私は会計や税務の初心者さんに、簡潔にわかりやすくポイント解説することをモットーにしております。詳細は必ず最寄りの税務署や税理士等に確認してくださいね

消費税とはそもそもなんなのか?

消費税という言葉は大人なら誰でも知っています。でも、詳しくは説明できない人がほとんどです

ただハンドメイド作家など個人事業を営んでいるのであれば、消費税について多少の知識を付けたほうが自分の身を守るうえでも大事なことです

この解説を読んでいただくと、必要最低限の知識は付きますのでお付き合いください

消費税は2種類ある

あまり意識したことはないかもしれませんが、消費税には2種類あります。材料購入などで消費税を払う場合のものと、反対に商品が売れたときには、消費税をもらうことになります(話を統一するためにここではハンドメイド作品には消費税をかけて販売していることとします)

これが2種類あるという理由です。これは事業主であれば必ず頭に叩き込んでください

では、この2種類の消費税の関係性をよ~く考えると、ある法則に気づきます。具体的に表の数字でみていきましょう

※商品Aは税込11,000円で売り、仕入に税込6,600円支払っているということ。儲けは4,400円ではなく、4,000円です。

商品ABCどれも赤字で販売するわけにはいかないので、もちろん原価より売上のほうが大きくなります。(赤字覚悟の在庫処分は考えないものとします)

ということは、商品1つ1つ見た場合は、払った消費税よりもらった消費税のほうが多くなるという法則があります

例えば、商品Aは原価を支払った時には、600円の消費税を払いました。でも商品が売れたときに1,000円の消費税をもらいましたので、差し引き400円の消費税が残ったことになります

商品ABCが1個ずつ売れたとすると、1,000円の消費税が売上とは別に残っていることになります

残っていると言うと語弊がありますね。正しくは一時的に預かっている消費税なので「預り消費税」といいます。(支払った消費税は「仮払い消費税」といいます)

話をシンプルにするために、前出の図のように1年間で商品ABCが1個ずつ売れた以外に取引がなかったと仮定します

するとこの1,000円が、売上とは別に預かっている消費税ということになるので、国に納めなくてはなりませんが、納めなくてもいい場合もあります。

納めなくてもいい会社(もしくは個人事業主)のことを「免税事業者」といい、納めなくてはならない会社(もしくは個人事業主)のことを「課税事業者」といいます

免税事業者は消費税をもらってはいけないのか

ほとんどのハンドメイド作家さんは免税事業者に該当すると思われます。そして免税事業者も消費税は請求してもいいことに法律上なっています

ここが重要なポイントですが、免税事業者となる条件は前々期の課税売上高が1,000万円以下」であることです。言葉だけだとわかりにくいので図解します

なぜ前年の売上ではなくて、もう1年前の前々年の売上を基準とするのでしょうか?

これにはちゃんとした理由があります

確定申告期間はいつでしょう?毎年2/15から3/15くらいですよね。確定申告することによって、前年の売上が確定するわけです

例えば早めに確定申告の準備して、2/20には終わったとしましょう。ありがたいことにたくさん売れたので、前年の売上が1,000万円ギリギリ超えていることがわかりました

そう前年の売上を基準にすると、今年に入ってから2月20日までの売上に消費税をもらっていなかった場合に、さかのぼってお客さんにもらわなくてはならなくなります

そんなこと今更できませんし、値札を取り替えたりする、次の期を迎えるための準備期間も必要でしょう。そんな理由から、前々年の売上を基準にしていると考えられます

そうはいっても今年は1,000万円以下の免税事業者(課税事業者になるのは2年後からです)だったわけですから「預り消費税」はどうなるのでしょうか。

免税事業者は消費税を納めなくてもよいわけですから、結果として自分の収益にしてよいということになります。

「あなたは免税事業者ですよね、だから消費税まけてもらいませんか?」

ときどきこのような発言を聞いたり、ネットで見たりします。

そんなことは国税庁もいっていませんし、まったく法的な根拠はありませんのでご安心を

但し、2019年10月1日より「区分記載請求書保存方式」が導入されているので、領収書や請求書を発行するときは、税率8%と税率10%を分けて記載しなければなりません。この点だけはご注意ください

まとめ

消費税は買う側が「支払う・支払わない」を決めるのではなく、販売者が「課税する・課税しない」を決定することとされています。したがって免税事業者でも消費税を請求することができます

但し、かならず値札や価格表には消費税がわかるように記載をしなければなりません。それさえしっかり対応していれば堂々と消費税を請求しても問題ありません

とはいっても、消費税を納めている課税事業者からみると、免税事業者は優遇されすぎているという意見があることも事実です

また国税庁も年々免税事業者を問題視するようになり、とうとう2023年10月1日より消費税の法律が変わり免税事業者には厳しくなります

どのようにかわるかというと、「インボイス制度」というものが導入されます。これについてはたいへんややこしので、ハンドメイド作家さんたちはどうすればよいのか、別記事でご紹介したいと思います

以上、広報部長Tでした

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