ハンドメイド作家さんとインボイス制度の関係 免税事業者のままでいいのか?

はじめに

サラリーマンとして経営管理の仕事を20年以上携わっているサイト管理人兼広報部長Tです。詳しい解説サイトは他にゆずるとして、私は会計や税務の初心者さんに、簡潔にわかりやすくポイント解説することをモットーにしております。詳細は必ず最寄りの税務署や税理士等に確認してくださいね

さて、2023年10月1日より導入される「インボイス制度」。施行されるまで1年を切ってきて、何をすればいいのか、どうしたらいいのか迷っているハンドメイド作家さんも多いのではないでしょうか

そんな迷えるハンドメイド作家さんに少しでもヒントになればと思い、インボイス制度を簡単にまとめたいと思います。簡潔といっても上場の大企業から個人事業主まで平等に導入される消費税にからんだ法律なので、難しいところもありますのでご了承ください

そもそもインボイス制度ってなんなの?

インボイス制度というのは軽減税率と関係していています。消費者側としては「これって10%なの?8%なの?」ってわかりにくいところがありますよね。例えば食用のひまわりの種は8%ですが、ペット用のひまわりの種は10%というようなものが挙げられます

これは販売者側が何用(食用・ペット用)として販売しているかによって消費税率が変わってくるということです。このような消費者の混乱を避けるために、今後は販売者側が消費税が何円なのか、そして何%か書いて販売しなさいってことなのです(税込み○○○円でもダメです。消費税がいくらかを明確にかかないといけません)

「でもそれってもうやってるよね?」

そうなんです。すでにやってるんです。大企業を含めほとんどの企業は。コンビニ、スーパー、ファストフードなど私たちが普段よく利用するお店のレシート・領収書などは対応済みのところが多いです

何故騒がれているかというと、2023年10月1日からは小さな個人事業主を含むすべての会社が関係してくるからです。そして重要なのは、このレシートや領収書のことをインボイスと呼んでいるということ

少し専門的な言葉で表現すると、2023年10月1日以降は「適格請求書発行事業者(以後記事内では【課税事業者】と表現します)」として税務署に登録していない会社のレシートや領収書では、消費税の記載があっても消費税とは認められなくなるので、そのインボイスでは『仕入税額控除』ができなくなる、これが一番大きな変更点です

ここ(仕入税額控除)の考え方が一番難しいポイントですので、???となっても当然です。でも、大丈夫。この後ひとつひとつ解説するので、頑張ってついてきてください

仕入税額控除とは何?

まず消費税の基本をご説明します

1,000円の商品を売った場合、税込みで1,100円を頂きます。これは、1,000円の商品代と100円の消費税ですね

その1,000円の商品を作るのに原価が300円かかったとします。そうすると税込330円支払っているので、消費税だけで考えると

100円-30円=70円 残っている(正確には預かっている)ことになりますね

課税事業者は70円を税務署に納付するのですが、70円を計算した時にマイナスした30円のことを『仕入税額控除』といいます。これものすごく大事です。100円消費税を預かりましたが、支払った消費税30円を差し引いて70円納税してくださいね、とうことです

2023年9月30日の取引までは、「仕入税額控除」に取引先の制限は設けられていません。どの事業者との取引でもマイナス30円することは認められます。しかし2023年10月1日からは、税務署に登録した課税事業者からのレシートや領収書(インボイス)が必須になり、消費税の明細がわからない場合や免税事業者のレシートや領収書では『仕入税額控除』が認められなくなるのです

仕入税額控除ができなくなるとは?

いまいち想像がしづらいと思うので、事例を挙げてみます。

前提
・あなたは課税事業者
・税込1,100円の商品を1つ売った
・税込330円の仕入れをした

事例1
課税事業者Aから330円で仕入れた場合
・仕入税額控除が可能
・100円-30円=70円 70円の納税義務が発生

残るキャッシュは、1,100円-330円-70円=700円

事例2
免税事業者Bから330円で仕入れた場合
・仕入税額控除ができない
 ※免税事業者のレシートや領収書では控除が認められません
・100円-0円=100円 100円の納税義務が発生

残るキャッシュは、1,100円-330円-100円=670円

さて、あなたならAとBどちらから仕入れますか?
同じ仕入れ値段ならAですよね。30円納税義務が増えるってことは、最終的には免税事業者は値段が10%分高いということと同じなのです

免税事業者は不利?

前述した通り、課税事業者にとっては免税事業者と取引することによって納税額が多くなってしまいます。言葉を選ばすに表現するなら、「免税事業者が払わなかった消費税を、取引した課税事業者に責任をもって払わせる」という税務署の思惑が見え隠れします

つまり、2023年10月1日以降、課税事業者は免税事業者と取引を減らしていくことになるのは誰でも予想できます。これがインボイス制度が免税事業者に不利と言われている理由です

個人事業主は免税事業者の方も多いです。それは小規模な事業主が、営業をして帳簿もつけて複雑な消費税も理解して、でもあれもこれもやるのは時間的にも厳しいという理由で、売上が1,000万円を超えるまでは消費税の納税は免除されていたのです。金額が小さいという理由もあったと思います

しかし今は税金が足りません。そこで、「免税事業者が払わない分を課税事業者に払わせよう」となったのかもしれません。まるで手のひらを返したようなインボイス制度の導入に反対の声も多くありました。でも導入が決まったのならそれに従うしかありません。どうすればいいか、前向きに対策を練りましょう

免税事業者は課税事業者になるべきか

ここではあくまでもハンドメイド作家さんたちにだけ特化して、どのような影響があるのか考えてみます。あなたのお客様は誰ですか?ほとんどのハンドメイド作家さんのお客様は企業ではなく一般の人々ですよね。課税事業者などの企業ではありません。一般の人々が取引相手で、かつ最終消費者(エンドユーザ―)になります

一般の消費者からすると、課税事業者から購入しようが免税事業者から購入しようがなにも関係ありません。つまり、ハンドメイド作家さんたちは、インボイス制度が導入されるといっても影響がかなり小さい業種といえるのです。影響する作家さんがいるとすれば、作品を企業に買い取ってもらっている方でしょうか

課税事業者は免税事業者から購入したものについては、免税事業者が納めない(正しくは免除されている)消費税分を代わりに納める義務が発生します。免税事業者はその分値引きを要請される可能性や最悪の場合、取引自体が無くなってしまうことも考えられます。また、課税事業者への転換を求められる場合もあるでしょう

結果として値引きになった場合、双方同意のもとならよいですが、やり方によっては課税事業者側の独占禁止法違反になります。そういう意味では、企業相手の下請け作業を生業としている免税事業者のフリーランスなんかは、厳しい条件を提示されたりする可能性もあり死活問題かもしれません

まとめ

結論としては先にも述べたように、ハンドメイド作家さんは限りなく影響が少ないです。したがって、インボイス制度が導入されたからといって、すぐに課税事業者になる必要ないと個人的には思います

話は少し脱線しますが、「2023年10月1日以降新規に取引を開始する場合は課税事業者とする」と制限をかける会社は多いと予想します。もちろん対外的には宣言しませんが、内規的に通達がある場合もあるでしょう。極論、すべての取引先が免税事業者であった場合は、仕入れ値が10%上がるのと同じだからです。課税事業者からすれば、独占禁止法の件も含め、免税事業者とはあまり関わりたくないのが本音だと思います

このブログを読んでいる作家さんの取引相手まではわかりません。免税事業者のままでいるのか、課税事業者に転換するのかの最終判断は、自分の作品は誰に売っているのか・売るつもりなのかを考えれば、自ずと答えは出てくるはずです。
以上、広報部長Tでした。

最新情報をチェックしよう!